自転車のチェーンを工具なしで外す方法は、メーカーの公式資料では案内されていません。シマノのディーラーマニュアルには「クイックリンクの取外しにはシマノ専用工具が必要です」と書かれています。
この記事では、切る・こじるといった破損につながる方法は扱わず、公式に確認できる範囲で、継ぎ目の見分け方・必要な工具・お店に頼む場合の費用をまとめます。

工具なしで自転車のチェーンは外せますか?ミッシングリンクが付いているのですが、専用工具を持っていません。

公式の手順では、ミッシングリンク(クイックリンク)の取り外しにも専用工具を使います。シマノは一度外したクイックリンクを再使用しないよう定めているため、交換用のリンクも用意してから作業してください。
📌 この記事のポイント
● 工具なしでチェーンを外す手順は、シマノ・あさひの公式資料に載っていない
● クイックリンクの取り外しにはシマノ専用工具が必要(11段用マニュアルの使用工具はTL-CN10)。一度外したリンクは再使用しない
● 継ぎ目がクイックリンクでないチェーンは、チェーン切りで切断する
● チェーンにたるみ・緩みがあるときは乗らずに販売店へ。張り調整の工賃は税込990円(サイクルベースあさひ)
自転車チェーンの外し方を工具なしで行う前に知るべき基礎知識


最初に、チェーンの継ぎ目の種類を確認します。継ぎ目によって必要な工具が変わるため、ここを見分けてから作業するかどうかを決めてください。
| チェーンの継ぎ目 | 外すときに使うもの | 公式の注意点 |
|---|---|---|
| クイックリンク(シマノ) | シマノ専用工具(TL-CN10) | 一度外したクイックリンクは再使用しない |
| ミッシングリンク(KMC) | ミッシングリンク用リムーバー | 種類によって着脱回数が規定されている |
| コネクティングピン(継ぎ目のリンクなし) | チェーン切り | 連結した箇所では切断しない |
切らずに外すための基本的な手順
チェーンを切らずに外せるのは、継ぎ目にクイックリンク(ミッシングリンク)が使われているチェーンです。シマノのディーラーマニュアルでは、専用工具を図のようにセットし、ピンをスライドさせて取り外すと説明されています。
KMCのミッシングリンクについて、サイクルベースあさひはミッシングリンク部に専用工具を掛けて挟み込むと外れると紹介しています。どちらも専用工具を使う手順です。
● 継ぎ目のリンクを探す(ほかのコマと形の違うプレートが1か所ある)
● リンクの種類と対応する工具を確認する
● 交換用の新しいリンクを用意する
● 専用工具でリンクを外し、チェーンを取り外す
ママチャリのチェーンを外すときのコツ
ママチャリ(シティサイクル)のチェーンは、チェーンケースや後輪まわりの作業が伴うため、販売店に依頼するのが確実です。サイクルベースあさひの工賃表では、チェーン交換の作業がチェーンケースの形で分かれています。
走行中にチェーンが外れた場合について、NITE(製品評価技術基盤機構)は緩みがある場合は使用を中止して販売店に修理を依頼するよう呼びかけています。緩んだまま走ると、ペダルが空回りして転倒するおそれがあるためです。
| 作業(シティサイクル) | 基本工賃(税込) |
|---|---|
| チェーン張り調整 | 990円 |
| ハーフケース・チェーンジョイント交換 | 1,870円 |
| フルカバー・チェーンジョイント交換 | 2,750円 |
| ハーフケース・チェーン交換 | 4,730円 |
| フルカバー・チェーン交換 | 5,610円 |
金額はサイクルベースあさひの基本工賃で、部品代は別です(2026年10月9日確認)。同社は他店で購入した自転車の修理も受け付けています。
自分でチェーン交換をするときに必要な知識や使われる道具
自分で交換する場合に必要な道具は、チェーン切りと、チェーンに適合した連結部品(クイックリンクまたはコネクティングピン)です。シマノのマニュアルは、適合していない部品や工具で連結すると、チェーン切れやチェーン飛びをおこす場合があると注意しています。
交換時期の目安は、パナソニックが走行距離3,000km~5,000kmとしています。使用頻度や走り方で変わるため、伸びを測って判断します。
| 確認する点 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 交換時期(走行距離) | 3,000km~5,000km | パナソニック |
| 伸び率(8~10速) | 0.75% | サイクルベースあさひ |
| 伸び率(11速) | 0.50% | サイクルベースあさひ |
| シマノ11段チェーンのクイックリンク | SM-CN900-11(工具 TL-CN10) | シマノ |
| チェーンの切断に使う工具(シマノ) | TL-CN28・TL-CN29・TL-CN34・TL-CN35 | シマノ |
シマノは、チェーンを新しいものに交換するときはクイックリンクも新しいものに交換するよう定めています。作業中は目の保護具を着けるよう、マニュアルに書かれています。
チェーンのたるみを直す簡単な方法

たるみは直す前に、自転車を10cmほど持ち上げて軽く落とす方法で確認できます。ブリヂストンサイクルは、このときチェーンがフレームやチェーンケースに強く当たるほどたるんでいないかを見るよう案内しています。
たるみが大きいと走行中にチェーンが外れやすくなります。同社は、異常を感じたら自転車には乗らず、販売店に相談するよう呼びかけています。
あわせて、油切れがなく、指で動かしたときに滑らかに動くかも確認します。張りの調整を店に頼む場合、サイクルベースあさひの「チェーン張り調整」は税込990円です。
チェーンが外れやすいときに見直すポイント
チェーンが外れやすいときは、変速の仕方・経年による劣化・外からの衝撃の3つを見直します。パナソニックは公式FAQで、正常な車体の状態と正しい使用方法であればチェーン外れは発生しないと説明しています。
変速は1段ずつ、ペダルを軽く回しながら、踏み込む力を抜いて行います。チェーンが止まったまま変速レバーを操作したり、一度に数段変速したりすると外れる原因になります。
| 原因 | 内容 | 対処 |
|---|---|---|
| 誤った変速 | 一度に数段変速する・止まったまま操作する・強く踏み込んだまま変速する | 1段ずつ、ペダルを軽く回しながら変速する |
| 注油不足 | 古い油や汚れがたまる | 2~3か月に1回注油し、汚れは清掃する |
| チェーン・ギヤの摩耗 | 伸びや摩耗が進む | 販売店で調整し、消耗に応じて部品を交換する |
| ワイヤーの伸び | 変速位置がずれる | 適正な変速位置に調整する |
| 転倒・衝突 | 変速機の故障や変形 | 故障した部品を交換する |
チェーンを締めるときの基本的な調整方法
チェーンの張りは、車種ごとの取扱説明書に書かれた方法と数値で調整します。適正な張り具合は自転車によって異なるため、この記事では一律の数値を載せていません。
シティサイクルの張り調整は後輪の位置を動かす作業で、後輪の固定にも関わります。手順に自信がない場合は販売店に依頼してください。
調整したあとも外れる場合は、チェーンやギヤの摩耗が進んでいる状態が考えられます。パナソニックは、消耗具合に応じた部品交換を販売店で行うよう案内しています。
自転車チェーンの外し方を工具なしで実践するためのコツとメンテナンス方法


後半は、洗浄と注油、ミッシングリンク・クイックリンクの扱い方です。チェーンを外さずにできる手入れも紹介します。
パーツクリーナーで汚れを落とすときの注意点
洗浄剤を使うときの注意点は、アルカリ性・酸性の洗浄液を使わないことです。シマノは、錆び落としなどのアルカリ性や酸性の洗浄液を使うとチェーンとクイックリンクが破損するおそれがあると警告しています。
サイクルベースあさひも、シマノのSIL-TECなどコーティングされたチェーンにはディグリーザーを使わず、ウエスで汚れを拭く程度にとどめるよう案内しています。洗浄は中性洗剤か、チェーン用のクリーナーで行います。
シリコンスプレーを使うときの役割と効果
チェーンの潤滑にシリコンスプレーを使う案内は、今回確認した公式資料にはありませんでした。チェーンに使うものとして紹介されているのは、チェーンオイル(ドライ系・ウェット系)です。
シマノは、性能を発揮するためにシマノ製の潤滑剤とメンテナンス製品の使用を強く勧めるとしています。別の潤滑剤を使う場合は、製品の用途にチェーンが含まれているかを表示で確認してください。
| チェーンオイル | 向いている場面 | 特徴 |
|---|---|---|
| ドライ系 | 晴天時・汚れを避けたいとき | 汚れが付きにくい。雨に弱く乾きやすい |
| ウェット系 | 雨・通勤・長距離 | 耐水性と耐久性に優れる。汚れを集めやすい |
注油は、ウエスをチェーンに当てて一コマずつ行い、余分なオイルを拭き取るのがあさひの紹介している手順です。
チェーンブラシで効率よく掃除する方法
チェーンを外さずに掃除するなら、チェーンを挟んで使うチェーンクリーナー(洗浄器具)が使えます。サイクルベースあさひの手順では、器具にディグリーザーを約30ml入れて水で薄め、クランクを25~30回転ほど逆回しします。
そのあと水に入れ替えて2回すすぎ、ウエスなどで乾かしてから注油します。床やリムを汚さないよう、作業前に新聞紙やダンボールを敷いてください。
洗浄の前に、チェーンチェッカーで伸びを確認するよう案内されています。伸びが大きいチェーンや、錆び・金属疲労が見られるチェーンは交換の対象です。
ミッシングリンクを工具なしで外す手順やペンチで外す時のコツ

ミッシングリンクを素手やペンチで外す手順は、メーカーと専門店の公式資料には載っていません。紹介されているのは、ミッシングリンク用リムーバーなどの専用工具を使う方法です。
ペンチでプレートを挟む方法は、リンクを変形させるおそれがあるため、この記事では紹介しません。専用工具を用意するか、販売店に依頼してください。
取り付けるときも専用工具を使い、外側に開くように力をかけ、「カチッ」とはまるまで押し込みます。かかりが浅いとロックされないため、取り付け後にチェーンが滑らかに動くかを確認するよう、あさひは説明しています。
ミッシングリンクがないときの対処法
ミッシングリンクがないチェーンは、チェーン切りで切断して外します。シマノは、クイックリンクやアンプルタイプコネクティングピンで連結された箇所では切断しないよう定めています。
連結された箇所で切ると、チェーンやチェーン切りが損傷するためです。工具がない場合は、販売店でチェーン交換を依頼するのが確実です。
サイクルベースあさひの基本工賃は、スポーツ車のチェーン交換が税込4,180円、電動アシスト自転車のチェーン交換が税込4,730円です(部品代別・2026年10月9日確認)。
クイックリンクを工具なしで扱うときの注意点
シマノのクイックリンクで工具なしでできるのは、取り付けです。シマノは公式サイトで、工具を使わず、あるいはオプションの着脱用プライヤーを使って取り付けられると説明しています。
取り外しは別で、シマノ専用工具が必要です。マニュアルには、取り外しについて販売店または代理店へ相談するよう書かれています。
● 一度取り外したクイックリンクは再使用しない(締結が緩くなり、外れて転倒するおそれ)
● 表面の矢印がクランクの回転方向に向くように取り付ける
● ピンが奥まで確実にはめ込まれていることを確認する
● チェーンを新品に交換するときは、クイックリンクも新品に交換する
● 変形やクラックなどの異常があれば、販売店または代理店に相談する
まとめ:自転車チェーンを工具なしで外すために覚えておきたいポイント
自転車のチェーンは、公式の手順では工具なしで外せません。クイックリンクやミッシングリンクは専用工具で、継ぎ目のリンクがないチェーンはチェーン切りで外します。
工具がないときにできるのは、たるみと油切れの点検までです。緩みや異常があれば乗るのをやめて、販売店に相談してください。
潤滑剤の選び方は ▶ ラスペネと556の違いを徹底解説!使い方・性能・代用品まとめ も参考にしてください。
📝 この記事のまとめ
● 工具なしでチェーンを外す手順は公式資料にない。クイックリンクの取り外しにはシマノ専用工具が必要
● 一度外したシマノのクイックリンクは再使用しない。チェーン交換時はリンクも新品にする
● 交換の目安は走行3,000km~5,000km(パナソニック)、伸び率0.75%(8~10速)・0.50%(11速)(あさひ)
● たるみ・緩みがあれば乗らずに販売店へ。あさひのチェーン張り調整は税込990円

